小学生の2人の子どもを持つ夫婦は、成長過程に合わせて子どもにふさわしい部屋を作っていきたいというご希望で、初めは子ども2人共用のプレールームを作り、状況に合わせて棚や収納家具といった可動家具によって、広さも空間も区切っていく部屋を採用しました。この型式は最近よく取り入れられるようになりましたが、親はいつも子どもの成長過程や自立の状況を見極めていなければならないという緊張に曝されることになります。また前に少し触れたように、2階に子ども部屋がある場合には、リビングルームやダイニングの1部を吹き抜けにして、2階の子ども部屋の窓を開けると、1階の空間と一体になるよう計画し、気配が分かるようにする設計手法は、よく使います。密室化した子ども部屋によって生じたのは、利己主義や非行、引き籠もりそして家族の喪失であり、家族のコミュニケーションの希薄化です。どんな形でコミュニケーションを再生させられるかは、子ども部屋ばかりでなく、現代の住まい全体にあてはまる課題と言っても過言ではありません。どんな子どもにも共通する、理想の子ども部屋のプロトタイプはありませんが、子どもの健全な発達過程における適切な環境は、共通しています。子どもが乳幼児の時には、いわば家中が子ども部屋ですから、この時期に一番大事なハイハイが十分できる空間を作るために、例えば、部屋が狭ければ、買いたいソファーを買うのを控えるのが正解かもしれません。
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