ぼくが言いたいのは住様式と家族観との間にまだズレがあるということだ。つまりぼくたちは戦後的核家族のスタイルに熟達していない、と言うべきだろうか。欧米人が彼らの住様式を使いこなしているとすれば、それは身ぶりや立ち居振る舞いにいたるまでいきとどいた家族内の行動様式が、住様式とぴったり一致しているからだろう。日本人が感情面で椅子式の生活になじみきれていないことは、たとえば家族の団欒というと、現在の自分の家族はそんなことをしていないのに、ふと昔の和風の茶の間を思い浮かべてしまう、というようなことに現われる。
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もっと典型的なのは親と子が真剣な会話をする場合のことである。こういう時、家の中のどういう場所がふさわしいかと考えると、たちまち戸惑ってしまうのはぼくだけではあるまい。